ウイスキーはつくられた土地の気候やつくり手の技やこだわりによって多種多様です。世界各国で様々な進化を遂げながら愛されてきたウイスキーには、“世界の5大ウイスキー”と呼ばれる、代表的な産地が5地域あります。
今回は5大ウイスキーの特徴についてご紹介していきたいと思います。
1.スコッチウイスキー(スコットランド)
ウイスキーといえば『スコッチ』と連想する方も多いのではないでしょうか?
それほどウイスキーの筆頭といっても過言ではないのがスコッチウイスキー。
世界でもっとも生産量の多いスコッチウイスキーなのでそう言われるのも納得です。
スコットランドで初めて国の認可を受けたグレンリベット蒸留所をはじめ、100以上の蒸留所が存在しており、今でもその多くがスコットランドの伝統製法を脈々と受け継ぎながらその味わいを深めてきました。スコッチウイスキーはその蒸留所がある地方ごとに、さらに6つのジャンルに分類されます。
・ハイランド
・ローランド
・スペイサイド
・キャンベルタウン
・アイラ
・アイランズ(オークニー諸島、スカイ島、ジュラ島、アラン島、マル島、ルイス島、)
大麦のみを使用したモルトウイスキー、大麦と大麦以外の穀物(グレーン)をブレンドしたブレンデッドウイスキーがあり、長年ブレンデッドウイスキーが主流でしたが、近年ではモルト原酒のみを使用したシングルモルトウイスキーも人気が高まっています。
あとに紹介するジャパニーズウイスキーもスコッチウイスキーの製法をもとにつくられたのが起源となります。
~代表的な銘柄~
・ハイランド:グレンモーレンジィ、ダルモアなど
・ローランド:オーヘントッシャンなど
・スペイサイド:グレンリベット、マッカラン、グレンフィディックなど
・キャンベルタウン:スプリングバンクなど
・アイラ:ラフロイグ、ボウモア、ラガヴーリンなど
・アイランズ:タリスカー、ハイランドパークなど
2.アイリッシュウイスキー(アイルランド)
1172年にヘンリー2世の従軍兵士がウイスキーの前身となる「アクアヴィテ」について報告を残していることから、ウイスキー発祥の地ではないか?とも言われているアイルランドですが、いまだにウイスキー起源説はスコットランドと決着はついていません。
かつてはスコットランドに負けないほど蒸留所があったものの、統廃合が進み現在は大手といわれる5か所ほどの蒸留所を中心に、少しずつ数を増やしています。
アイリッシュウイスキーは基本的にピート(泥炭)を焚かないノンピートで造られるのが特徴。また、蒸留回数もスコッチでは通常2回蒸留が基本ですが、3回蒸留で造られるものが多いため、すっきりスムースなものが多いです。
~代表的な銘柄~
ジェムソン、カネマラ、タラモアデューなど
3.アメリカンウイスキー(アメリカ)
17~18世紀頃に北アメリカ大陸に渡ったヨーロッパ移民が伝えたとされるウイスキーが独自の発展を遂げたのがアメリカンウイスキーの起源だとされています。 ケンタッキー州でつくられる「バーボンウイスキー」に代表される「アメリカンウイスキー」ですが、スコッチやアイリッシュの主原料が大麦なのに対し、アメリカの地域の産物である、とうもろこしやライ麦、小麦などが使われているのが特徴です。
バーボンの他にも、 「ストレートライウイスキー」「ホイートウイスキー」「モルトウイスキー」「ライモルトウイスキー」「コーンウイスキー」「ブレンデッドウイスキー」「テネシーウイスキー」があり、連邦アルコール法という法律で細かく分類されています。
アメリカンウイスキーの味を表現するのによく言われるのが「力強い」「荒々しい」などの表現に加えて「バニラ香」や「メープルシロップ」などの甘い印象を表現も使われます。これはウイスキーを熟成させる樽をチャー(内側を焦がす)してから熟成させることにより、味の深みや香りを生み出すことにあります。
ケンタッキー州の主要バーボン蒸留所、テネシー州のジャックダニエル蒸留所など根強いファンをもつ蒸留所が筆頭ですが、近年では全米各地にクラフトディスティラリーと言われる小規模な蒸留所の建設が増えています。
~代表的な銘柄~
ジムビーム、ワイルドターキー、メーカーズマーク、ジャックダニエルなど
4.カナディアンウイスキー(カナダ)
日本ではあまり知名度が高くないかもしれませんが、カナディアンウイスキーも世界の5大ウイスキーの1つとして名を連ねます。
日本で取り扱われている銘柄は少ないため、あまり馴染みがない方も多いですが実は世界的にみるとファンも多いんです。
そんなカナディアンウイスキーですが、その最大の特徴は独特なブレンドにあります。
ほとんどのカナディアンウイスキーはトウモロコシがベースのベースウイスキーと、ライ麦を主原料にしたフレ―バリーウイスキーをブレンドして作られており、この比率によってカナディアンウイスキーの特徴であるエレガントな香りと滑らかな口当たりが生まれます。
5大ウイスキーの中でも、特に飲み口が軽いので、ウイスキー初心者にもオススメしやすいのがカナディアンウイスキーです。
~代表的な銘柄~
カナディアンクラブ、クラウンローヤルなど
5.ジャパニーズウイスキー(日本)
今では世界中にファンを抱える『ジャパニーズウイスキー』。
日本で開催されるウイスキーイベントにも世界中からウイスキーファンが集まるほどジャパニーズウイスキーの評価が高まってきました。
ジャパニーズウイスキーの知名度と品質が確立されてきた歴史のなかで、日本に最初にウイスキーが伝えられたのは、江戸時代末期の1853年にペリー提督が来航した、いわゆる「黒船来航」の時が最初と考えられています。
そんな日本のウイスキーの歴史を語るうえで外せないのが、テレビドラマにもなり一躍有名になった日本のウイスキーの父といわれる鳥井信治郎さんと竹鶴政孝さん。
スコットランドへウイスキーの製法を学ぶために派遣された竹鶴政孝さんを迎え入れて、山崎蒸留所を建設した、サントリー創設者の鳥井信治郎さん、その山崎蒸留所で造られたウイスキーが、1929年に日本で初めての本格ウイスキーである「サントリーウ井スキー」(通称白札)として発売されました。
当初はアメリカから日本へ伝来したウイスキーですが、竹鶴政孝さんがスコットランドでウイスキー造りを学んでいるので、日本のウイスキー造りはスコッチウイスキーの影響を強く受けています。
また、各国でウイスキーに関する定義が異なる中で、長年日本では“日本のウイスキー”という法律に基づいたハッキリした定義はありませんでした。
しかし、2021年2月16日に日本洋酒酒造組合から 「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」 が発表されたことにより、厳格にジャパニーズウイスキーの定義が定められることになりました。
ジャパニーズウイスキーの定義として、主な項目は次のような内容です。
・原材料は麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。 なお、麦芽は必ず使用しなければならない。
・製造について糖化・発酵・蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと。 なお、蒸留の際の留出時のアルコール分は95度未満とする。
・貯蔵は内容量700リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して3年以上日本国内において貯蔵すること。
・瓶詰は日本国内において容器詰めし、充填時のアルコール分は40度以上であること。 その他 色調の微調整のためのカラメルの使用を認める。
現在も従来の大手メーカーを筆頭に、日本国内にも2016年頃から相次いでクラフト蒸留所が誕生し、空前のウイスキーブームに沸いています。今後もジャパニーズウイスキーの進化から目が離せません。
お好みのウイスキーとの出会いをお手伝いいたします。
以上が世界の5大ウイスキーになります。ひとことでウイスキーといっても各生産地での製造へのこだわりや考え方が違うので味わいも全然ちがうものになることは分かっていただけたのではないかと思います。
Bar Lounge Tenjinでは、5大産地はもちろん、世界中のウイスキーを取り揃えておりますので、ぜひともご賞味いただき、自分のお好みのフレーバーを見つけて頂けると幸いです。
また、Bar Lounge Tenjinで取り揃えている400種類以上のウイスキーのなかから厳選した各国のウイスキーをみなさまにご紹介するコラムも掲載しますので、是非ご覧になってみてください。